2022年07月24日 17:59
毎日の歯磨きはお口の健康にとって欠かすことができないことは皆さんよくご存じでしょう。お口の健康に影響を与えるのは虫歯と歯周病が知られていますが、歯磨きをきちんとしていれば、虫歯や歯周病を防ぐことができるのでしょうか。
歯を失う2大トラブルである虫歯と歯周病は、どちらも細菌によって発症します。虫歯の場合はミュータンス菌などの虫歯菌、歯周病は数種類の歯周病菌が関与することで発症します。
お口の中には非常に多くの細菌が棲みついており、悪さをしない菌もあれば虫歯や歯周病を引き起こす菌も存在しており、虫歯や歯周病になるのは口内環境が清潔であるかそうでないかで決まってきます。
虫歯や歯周病が活動しやすい環境とは、プラークの有無です。プラークとは、細菌の塊で白くねばねばした物質で、虫歯や歯周病の活動の場所です。
ではプラークはどのようにして作られるのでしょうか。それは歯の間に残る食べかすの中にある糖分をエサにして作り出されます。虫歯菌が存在すれば虫歯菌が活動して酸を出し、歯周病菌がいれば歯周病菌が毒素を出して歯ぐきに炎症を引き起こします。
お口の中が清潔に保たれていれば発症リスクは低く、逆に不潔な状態が続いてしまうと当然リスクは高くなります。
このように虫歯や歯周病を引き起こすプラークは、口内環境によって左右されることがお分かりいただけることと思います。
では虫歯や歯周病を引き起こさないためには歯磨きだけで大丈夫なのでしょうか。答えは「ノー」です。どれほど念入りに歯磨きをしていても、お口の中に細菌が存在する限りプラークは形成されてしまうからです。
三度の食後にしっかり歯磨きをし、寝る前の歯磨きはより念入りに行っても、細菌をゼロにすることはまず不可能です。お口の中の細菌の多くは日和見菌でそれほど悪さをしないものがほとんどですが、口内環境が悪くなると日和見菌は悪い方へと加担し、虫歯や歯周病といった症状を引き起こしやすくなります。
食後の歯磨きと就寝前の歯磨き以外に口内環境を正常に整えるには、検診や定期的なクリーニングが欠かせません。検診やクリーニングでは自分では落としきれない歯石やプラークなどを取り除き、お口の中に存在する細菌をできるだけ落として清潔な環境へと整えます。目に見えないプラークや自分では取り除けない歯石もきれいに取り除き、虫歯や歯周病になりにくい口内環境にするには、定期検診やクリーニングなのです。
一見きれいに管理されていても、3か月もすればプラークも付きはじめ、細菌が活動しやすくなってきますので、半年に1回、できれば3か月に一回は定期検診やクリーニングを受け、虫歯や歯周病リスクを減らすようにしたいものです。
毎日の歯磨きと定期的なクリーニングで、お口の健康を維持しましょう。
2022年07月14日 09:24
受け口は、横顔のEラインを大きく乱してしまいます。全体的な歯並びに問題がなくとも、受け口は横顔の見た目と機能に大きな影響を与えてしまいます。受け口はそのままにしておくと悪化の一途をたどってしまう恐れがあります。今回は、受け口の悪影響と早期治療の重要性についてお話をいたします。
受け口は、本来なら上の前歯が下の前歯を数ミリ覆うはずが、何らかの原因で下の前歯が上の前歯を覆ってしまっている不正咬合です。反対咬合とも呼ばれており、幼少期から受け口になってしまっているお子さんもおられます。では受け口になってしまうのにはどんな原因があるのでしょうか。
受け口の原因で最も多いのが、骨格の遺伝です。ご両親や親族の中で受け口の方がいらっしゃる場合、高い確率でお子さんに受け口が遺伝します。
上の歯が内側に向けて生え、下の歯が外側に向けて生えてしまった場合、噛み合わせが上下反対になってしまうため受け口に見えてしまいます。
歯は力を加えると動く性質を持っています。出っ歯の原因が指しゃぶりに関連するのはよく知られていますが、舌で下の歯の裏を押す癖が長く続いたり、顎を突き出すといった癖も受け口の原因になってしまいます。
受け口というと、まず思い浮かぶのがしゃくれた顎で横顔の見た目が悪い、ということでしょう。確かに受け口が横顔のコンプレックスになってしまい、笑顔に自信を持てないのではないでしょうか。しかし受け口の悪いところは見た目だけではなく、歯や顎の機能にも悪影響を与えてしまいます。
受け口は奥歯も前歯も噛み合わせが合っていません。噛み合わせが合っていないと顎の関節に負担をかけ、将来的に顎関節症を引き起こす可能性があります。
受け口は、そのままにしておくとますます症状が悪化する傾向にあります。自然に治ることはまずありません。受け口の治療法としては、マルチブラケットによる矯正装置がいちばん一般的です。上顎を前に出し、下顎を後方へ下げることで正しい噛み合わせに導きます。抜歯を伴うケースも少なくありません。
ごく軽度の場合、インビザラインなどのマウスピースで治療も可能ですが、骨格のズレが大きい場合は外科治療が必要と診断されることもあります。
受け口はそのままにしておくメリットは何ひとつありません。特に子どものころから受け口の傾向がみられる場合は、早期に治療を開始することでその後の治療が変わってくることがあります。
受け口が気になる方は、できるだけ早期にかかりつけ医か専門医に相談しましょう。
2022年06月23日 15:07
矯正治療によって歯並びや噛み合わせを正しく整えたあとに心配なのは、後戻りです。せっかく高い費用を費やして行った矯正治療が、後戻りによって乱れてしまったらとてもショックを受けることと思います。こういった後戻りを防ぐために欠かせないのが、リテーナーです。ところが不注意でリテーナーを紛失してしまった、ということも十分考えられます。では万が一リテーナーを失くしてしまった場合、どうすればよいのでしょうか。
矯正治療を終えた後の歯は、元に戻ろうとする性質があります。矯正治療後の歯はとても不安定なため、歯が元の位置に戻ろうとする後戻りが起きてしまいます。そこで重要なのが、リテーナーの装着です。
動的治療(歯を動かすための装置を使った治療期間)が終了したあとは、「保定期間」という期間に入ります。保定期間とは、動的治療で動かした正しい歯並びと噛み合わせを保つための期間で、非常に重要な役目を持ちます。リテーナーという装置をつけ、歯が動いて後戻りをしないようにします。
リテーナーにはマウスピースタイプ、床矯正に似たプレートタイプといった取り外し式のものと、歯の裏側にワイヤーを取り付ける固定式のものがあります。医院によって取り扱っているリテーナーは異なりますので、どの装置になるのかは医院で確認してください。
ワイヤーで固定式のリテーナーは紛失の心配がありませんが、取り外し式のリテーナーの場合、間違って捨ててしまった、外食の際に外してティッシュに包んだまま忘れてきてしまった・・・などといったトラブルが起こることがあります。もしリテーナーを紛失してしまった場合、どうすればよいのでしょうか。
まずは、矯正治療を受けた医院に相談し、装置を再作製しましょう。先にお話したとおり、矯正治療後の歯は後戻りしやすいので、失くしたとわかった時点ですぐに医院に連絡をして受診してください。時間が経つと歯が動いてしまうので、すぐに受診、再作製することが大切です。そのまま放置しておくことは絶対にやめましょう。
リテーナーの再作製は原則として、矯正治療を受けた医院で行います。しかし保定期間中に引っ越し、治療を受けた医院から遠く離れてしまうこともあるかと思います。リテーナーの作製にはそれほど通院回数はかかりませんが、引っ越して遠くなり、受診できない場合はまず、地元の矯正治療を行っている医院に相談してみましょう。絶対に作れる、という保証はありませんが、相談には乗ってくれるはずです。中には他院で治療を受けた方でもリテーナーのみの作製を受けてくれる医院もあるようです。
リテーナーは矯正治療後の後戻りを防ぐための非常に重要な期間です。リテーナーはなくてはならないので、万が一紛失してしまったときは、速やかに受診するようにして下さい。またリテーナーを外した際はティッシュなどにくるむと誤って捨ててしまう原因となります。必ず専用のケースに保存するようにしてください。
2022年06月13日 18:14
乱れた歯並びを正しい歯列に改善するための矯正治療の中でも、マウスピース矯正はホワイトニングが同時にできるということもあり、人気を集めています。しかしマウスピース矯正中に行うホワイトニングの中でも、注意すべき点があります。それはいったいどういうことなのでしょうか。
ワイヤー矯正にもメリットはありますが、インビザラインに代表されるマウスピース矯正には、ワイヤー矯正にはないメリットがあり、そのメリットを生かして矯正治療を進めていくことで治療中のモチベーションを保ちやすくなります。マウスピース矯正のメリットには
・取り外し式で歯磨きや食事がしやすい
・透明で目立ちにくい
・矯正中でもホワイトニングができる
などがあげられます。その中でも矯正中にホワイトニングができることは、審美性を向上させることでさらに矯正治療のモチベーションを保つ上で有効な手段ではないかと思います。
ホワイトニングには歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニングがあり、マウスピース矯正中は手持ちのマウスピースを使ってホームホワイトニングを行うことができます。矯正中に歯が白くなっていくのを実感すると、きっとワクワクして「矯正も頑張ろう!」という気分になることと思います。
しかしマウスピース矯正中のホワイトニングで気を付けなければいけない点があります。それはいったい何でしょうか。
インビザラインでの治療中に、歯の表面に米粒のような小さな突起物を付けることがあります。この突起物を「アタッチメント」といい、マウスピースが歯にしっかりと固定され、歯に力を加えるためのものです。歯とほぼ同じ色のレジンでできており、目立つことはほぼありません。
アタッチメントは治療計画上どの歯に付けるか、何個必要なのかなどを判断し、歯に取り付けられます。基本的に取れることはありませんが、強い力がかかると取れてしまうことがあります。
アタッチメントは歯科医院で外すため、それまではアタッチメントを付けたまま過ごすことになります。
このアタッチメントを付けた状態でホワイトニングを行うと、アタッチメントが付いている部分だけ白くならず、アタッチメントを外した時に目立ってしまいます。せっかく白くした歯なのに、アタッチメントの跡がついていると、とても恥ずかしくて人前で歯を見せて笑えなくなるかもしれません。
こういったことを防ぐためにも、アタッチメントが付いている間はホワイトニングを控えておきましょう。アタッチメントをいつ外すかはだいたいの治療計画に練り込まれていますので、担当医にいつ頃アタッチメントが外れるのか尋ねてみると失敗しないでしょう。
インビザラインやマウスピース矯正の治療の流れをよく理解しながらホワイトニングの計画を立てていくようにしましょう。
2022年05月28日 11:31
歯や歯並びをきれいに整えるためには必ず矯正装置が必要になります。お口の中にこれまでにはなかった装置が入るため、口臭が気になる方もおられるのではないでしょうか。今回は、矯正装置と口臭の関連性についてお話をいたします。
矯正装置を付けることで、それまではそれほど気にならなかった口臭が急に気になるようになった、と思うことはありませんか?口臭は相手に不快感を与えてしまうため、ご自身でも気を付けて歯磨きを丁寧に行ったりマウスウォッシュなどを使って、常日頃からケアをされている方も多いことと思います。
そこへ矯正装置を付けると、どうしても口臭が気になるのではないでしょうか。もともと何もなかった口腔内に矯正装置という器具を付けることで、お口の中の状況に変化が起きることは確かです。
矯正を始めると口臭がきつくなるということは実際にあるかどうかというと、ある程度は仕方がないと考えることがいちばん自然なのではないかと思います。
まず装置に唾液中に含まれる細菌が付着します。これはどの装置でも同じですが、長時間装置を付けていると、どうしてもお口の中の細菌が装置に付着してしまい、臭いの原因になってしまいます。唾液そのものにも独特のにおいがあるため、装置に付着し口臭となって表れてしまうと考えられます。
矯正装置にはワイヤー矯正やインプラントアンカーなど固定式のものと、マウスピース矯正や拡大装置といった取り外し式のものがありますが、どちらのほうがより口臭に関連しやすいのかというと、ワイヤー矯正ではないかと思います。
これは固定式装置による歯磨き不足が主な原因です。矯正中は装置を付けたまま過ごすため、どうしても磨き残しが出てきてしまいます。そして装置周りに汚れがついたまま過ごしてしまうことで、細菌が繁殖しやすくなり臭いの原因になってしまいます。特にブラケット周囲やゴムなどは臭いがつきやすく、矯正を始めてから口臭がきつくなった、と感じてしまうのではないでしょうか。
いっぽうマウスピース矯正や取り外し式の拡大装置は矯正前と同じように歯磨きができます。きちんと磨けていれば口臭のリスクは減ります。歯と歯の間もフロスが通しやすく、口腔管理のしやすさは取り外し式装置のほうに軍配が上がります。
ただ取り外し式の装置でも「磨けていなければ」当然磨き残しが出てきますし、口臭の原因となってしまいます。
矯正中の口臭を少しでも気にならなくするためには、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。ワイヤー矯正の方はワンタフトブラシなどを使い、細かな部分も丁寧に磨く必要があります。
ただ矯正中の歯磨きには限界があります。そこでお考えいただきたいのが、定期的なクリーニングです。歯科医院や矯正歯科でクリーニングを受けることで、磨き残しや細かな部分の汚れまできれいに取り除くことができます。特にワイヤー矯正の方は口臭予防だけでなく、虫歯リスクを減らすためにも月に1回程度のクリーニングは欠かせません。
矯正治療はどうしても長い期間が必要になります。どうしても口臭が気になると思いますが、できるだけ快適に過ごすためにも月に1回のクリーニングを受けて頂くことをお勧めします。
2022年05月12日 15:42
矯正治療を始める前には色々な検査が行われ、その際虫歯が見つかることがよくあります。矯正治療を始めてから隠れていた虫歯が見つかることはありますが、もし矯正治療を始める前に虫歯が見つかった場合、矯正治療はどのように進められるのでしょうか。
虫歯になったと自覚があるのは、歯がズキズキ痛い、穴が開いているなどといった症状が起きたときです。このような場合、虫歯が進行しておりそのままにしておくと神経に炎症が起こり、根管治療が必要になったり、歯がすっかり溶けて根っこだけになってしまう可能性もあります。矯正治療を考える前に虫歯の自覚症状がある場合は、まずかかりつけ医でしっかりと虫歯の治療を行うことが先決です。
虫歯の進行度はC0~C4に分けられますが、C0、C1はそれほど心配する必要はありません。しかしC2になるとエナメル質に穴が開き、神経近くまで進行していますのでしみるような症状が起こります。このような自覚症状がある場合は、我慢せず早めにかかりつけ医で虫歯の治療をしておきましょう。
なおC0、C1の虫歯は経過観察となることが多いようですが、医院の治療方針によっては軽度の虫歯でも治療をされる場合がありますので治療方針をしっかりと確認しましょう。
歯並びを治したい、矯正治療をしようかなと考える際に矯正相談の前にかかりつけ医で虫歯がないかどうかの診察を受ける方もおられると思います。前述したとおり、痛みなどの自覚症状がある方は当然、虫歯治療を行ってから矯正相談を考える方がほとんどでしょう。
では矯正相談に行った際に虫歯があると言われた場合はどうなるのでしょうか。実は必ずしも矯正治療を始める前にかかりつけ医で虫歯のチェックや治療を行わなければいけない、ということはありません。というのも、矯正を始める前には必ず矯正治療を始める医院で虫歯チェックをするからです。もし矯正治療において抜歯が必要な場合、虫歯になっている歯や既に虫歯治療をした歯を抜歯する可能性がゼロではありません。
特に八重歯やひどい叢生といったスペース不足が原因の場合、抜歯をしてスペースを作ることが前提となるケースが多いため、抜歯が必要となってくることが考えられます。その際、どの歯を抜歯するかは歯並びの状態などによって決められますが、虫歯治療をしたことがない健康な歯を抜くよりも、既に虫歯治療を行った歯を抜く方がよいと考えられることもあるからです。もしこのような処置になった場合、せっかくお金を払って虫歯治療をしたのにもったいない・・・と感じてしまうかもしれませんね。
矯正治療を始める前には必ずお口の中のチェックがあります。レントゲン撮影や口腔内スキャナーなど画像撮影のほか、虫歯や歯周病になっていないかどうかのチェックも行われ、その際に治療が必要な歯があれば治療をするように指示されます。また治療計画上、虫歯治療をすべき歯を抜歯する可能性もあります。
矯正治療は長期間にわたる治療となります。レジンで修復できるくらいの軽度な症状ならそれほど大きな問題にはなりませんが、虫歯を放置しておくと矯正治療中に虫歯が悪化し、根管治療が必要になることも考えられます。
特にブラケットを付けたワイヤー矯正の場合、いちど装置を全部取り外して治療を行う必要性が出るため、非常に時間と手間がかかってしまいます。矯正治療を始める前に虫歯が見つかった場合、虫歯治療を優先するように指示されることがほとんどです。その際、治療が必要な虫歯は必ず治しておくようにしましょう。
矯正治療は年単位で行われる治療です。途中で虫歯にならないよう、虫歯治療後もクリーニングを受けるなどしてしっかりとお口の中の健康管理をしておきましょう。
2022年04月26日 09:03
矯正治療を始めると気を付けなければいけないのが、虫歯や歯肉炎です。矯正治療前と比べ、より念入りな歯磨きが必要になりますが、ご家庭でのセルフケアだけでは限界があります。矯正治療をスムーズに進めるためにもご家庭でのセルフケアに加え、歯科医院での定期的なクリーニングも必要になってきます。では矯正治療中のクリーニングはなぜ重要なのでしょうか。
矯正治療のスタンダード治療法とも言えるワイヤー矯正は、歯磨きのし辛さが大きなデメリットと言えます。歯の表面に付けているブラケットやワイヤー、チューブやバンド、ゴムなどといった複雑な構造から成り立っており、歯磨きのし辛さを痛感される方がほとんどだと思います。特に奥歯になると歯ブラシが届きにくく、歯と歯ぐきの境目や歯の間、装置周りの細かな部分などといった部分に磨き残しが見られます。
またワイヤーが通っていることで歯と歯の間にフロスを通しにくく、汚れが残ったまま過ごしてしまうと歯が動いたときに、隠れていた虫歯が見つかることもしばしば起こります。
このように、ワイヤー矯正は固定式の装置が付いているため歯磨きが難しく、虫歯や歯ぐきが腫れる歯肉炎のリスクを抱えやすくなります。
いっぽうのマウスピース矯正は歯磨きの際にマウスピースを取り外しますので、矯正治療前と同じように歯磨きが行えます。また食事も装置を外して楽しめるため、歯磨きや飲食のしやすさはマウスピース矯正のほうが圧倒的にメリットを感じることと思います。
ただマウスピースは歯全体を覆うため、自浄作用のある唾液の流れをシャットアウトしてしまいます。そのため磨き残しがあると、食べかすとともに虫歯菌をマウスピースで閉じ込めてしまうことになり、虫歯リスクが高まって知らない間に虫歯が作られてしまうケースも珍しくありません。マウスピース矯正は「虫歯にならない治療法」ではありません。矯正前よりもより丁寧な歯磨きを行う必要がある治療法とも言えるでしょう。
ワイヤー矯正であってもマウスピース矯正であっても、お口の中は細菌が棲みついており、口内環境を清潔にしておく必要があります。また毎日の飲食で歯に着色が目立つようになるなど、見た目にも影響が出てしまいます。
しかしご家庭でのセルフケアでは限界があります。矯正中はどうしても磨き残しや虫歯リスクを抱えてしまうため、歯科医院での定期的なクリーニングが重要になるのです。歯科医院でのクリーニングは専用のブラシやペーストなどを使い、歯ブラシでは落としきれないヌメリや汚れなどをきれいに落とすことを目的としています。この汚れやヌメリが虫歯や歯肉炎、成人の場合は歯周病へと繋がってしまうため、プロの技術によって防ぐことが可能となります。
歯のクリーニングは矯正治療を行っている医院でもできますし、かかりつけの医院でも可能です。矯正中の虫歯や歯肉炎などのリスクをしっかりと理解し、スムーズに治療を進めるためにも是非定期的なクリーニングは受けるようにしましょう。
2022年04月21日 09:02
虫歯や歯周病といった歯のトラブルから歯の健康を守るためには、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。また歯ブラシだけでは取り除けない歯の間の汚れや歯並びが悪い部分は、フロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシといった補助的な道具を使う必要があります。しかし歯ブラシ以外の道具を使うとき、どの順番で使えばよいのか分からないことはありませんか?今回は、歯磨きの順番についてお話をいたします。
歯や歯ぐきの健康を守るための道具は、歯ブラシだけではありません。今更、と思われるかもしれませんが、歯ブラシを含むお口の中をきれいにするための道具について簡単に説明いたします。
言うまでもなく、歯を磨くための最も基本的な道具です。とても豊富な種類があり、ヘッドの大小の違いや柔らかさなどの質感、持ち手などメーカーのこだわりにより異なります。ドラッグストアなどで簡単に手に入りますが、どの歯ブラシが自分に合っているか分からないときは、かかりつけの歯科医院の歯科衛生士さんに質問してみましょう。
歯と歯の間に残る汚れを取り除くための糸で、糸ようじとも呼ばれています。手で好きな長さで切って使うもの、持ち手が付いているものがあります。歯と歯の間が狭い部分でも入りやすいフロスは、虫歯予防に欠かせないアイテムです。
歯間ブラシも、歯と歯の間に残った汚れを落とすのに必要なアイテムです。特に歯のすき間が広い方は、フロスよりも歯間ブラシのほうがしっかりと食べかすを落とせます。逆に歯間が狭い方は歯間ブラシが入りにくく無理に入れると歯肉を傷つけるため、フロスを使いましょう。
ワンタフトブラシとは、歯ブラシの毛先が小さく、部分的に磨くための特殊な歯ブラシです。歯並びの悪い部分や歯ぐきのかなり上方から生えている犬歯、ワイヤー矯正中のブラケット周辺およびブリッジやインプラントなどの部分を磨くのに最適なブラシです。また非常にコンパクトな毛束のため、歯の裏側を磨くのにもとても適しています。ワンタフトブラシを使うことで、さらに毎日のケアのレベルを上げることが可能となります。
歯ブラシ以外の清掃アイテムを使うことで、より毎日のケアのレベルが上がります。しかし使う順番によっては汚れがきれいに落とせないこともありますので、正しい順番を知っておくことが大切です。
まずは歯ブラシを使って丁寧に全体を磨きます。ゴシゴシと強く磨くのではなく、軽い力で小刻みに歯ブラシを動かして汚れを落としましょう。
次にワンタフトブラシで歯と歯ぐきの境目を磨きましょう。ここはプラークが作られやすいぶぶんのため、ワンタフトブラシを使って丁寧に磨きます。また歯並びが悪く、歯と歯が重なっている部分は、普通の歯ブラシでは汚れが残りがちです。ワンタフトブラシの毛先を歯のデコボコに沿って丁寧に磨きましょう。ワイヤー矯正のブラケット周辺やブリッジが入っている部分も丁寧に磨きます。
最後にデンタルフロスまたは歯間ブラシを使い、歯とはの間に残る食べかすを取り除きます。歯ブラシやワンタフトブラシでは歯間の汚れが取り除けません。成人の虫歯の多くは歯と歯の間に起こります。子どももですが、大人虫歯を予防するためにもフロスや歯間ブラシは欠かせません。一日の最後の歯磨きのときに、是非使うようにして下さい。
なおフロスや歯間ブラシを先に使うと、歯磨きをしたときの汚れが歯の間に入ってしまうことがありますので、先にフロスなどを使うことは避けてください。
正しい歯磨きは毎日のケアがとても重要です。歯ブラシに加え、フロスやワンタフトブラシを使うことで、より虫歯や歯周病リスクを抑えることが可能となります。それだけでなく、定期的に歯科医院で検診を受けることも大切です。
何歳になってもご自身の歯で食事を楽しめるよう、お口のケアはしっかりと行いましょう。
2022年03月25日 13:46
虫歯は年齢を問わず発症してしまうお口の中の代表的なトラブルです。子どもの虫歯は比較的大きな穴が開いてしまうことが多いので発見しやすいのですが、大人の虫歯の場合、子どもの虫歯と少し違う特徴があり、見落としやすい傾向があります。今回は大人の虫歯の特徴と、予防策についてお話をいたします。
虫歯は、虫歯菌が出す酸によって歯が溶けてしまう病気で、お口の中に起きるトラブルのトップとも言えます。歯周病は主に成人後に起こりやすいですが、虫歯は乳歯でも起こるため、年齢を問わずに起きてしまうことが虫歯の特徴です。
さらに子どもの虫歯と大人の虫歯では、同じ歯が溶ける症状でも少し特徴が異なります。
子どもの場合、どちらかといえば大きな穴がぽっかりと空いてしまう傾向があります。また乳歯や生えたばかりの永久歯はエナメル質がまだ弱く、急速に虫歯が進行し、痛みも伴います。
これに対し大人の虫歯は、大きな穴が開いて虫歯を発見するというよりも、「気づきにくい場所に虫歯ができていた」ということが多く見られます。そのため虫歯特有の強い痛みがそれほどないまま虫歯がつくられていた、ということが大人の虫歯の特徴と言えます。
大人の虫歯で最も多いのは、歯と歯の間に作られる虫歯です。歯の間にできた虫歯はあまりよく見えず、痛みもそれほど強く感じないため歯の間に虫歯が作られていることを見落としやすいのです。ある程度虫歯が進行すると黒くなってくるため「あれ?もしかして虫歯?」と気づくことがありますが、それは前歯など比較的見やすい部位です。奥歯の歯の間は自分で発見することは非常に難しく、食べ物が挟まってしまう、なんとなくしみるといった症状が出て初めて気が付くケースがほとんどです。
また定期検診を受けている方は、検診によって虫歯ができてしまっていることを指摘されることがあります。
いちど治療をした歯に再び虫歯が作られてしまうのも、大人虫歯の特徴です。いちど治療した歯の虫歯の再発を二次カリエスと言い、大人虫歯に非常に多く見られます。二次カリエスの場合、ある程度虫歯が大きくならないと痛みなどが出にくいため、詰め物が取れたなどと言った場合は二次カリエスになっている可能性が高くなります。以前に治療をした際に白いレジンを詰めた歯や金属などの詰め物、被せ物がある歯は注意が必要です。
自分では気づきにくい大人の虫歯をできるだけ予防するためには、どういったことが必要なのでしょうか。大人虫歯のリスクをできるだけ低くするポイントをお伝えいたします。
歯と歯の間の汚れは歯ブラシの毛先だけではなかなか取れません。歯の間の食べかすや汚れをそのままにしておくと、虫歯菌が活動しやすくなってしまいます。虫歯菌の活動を防ぐためには、デンタルフロスや歯間ブラシといった道具を使って、きれいに落とすことが歯と歯の間の虫歯を防ぐ大きなポイントです。
検診を受けている場合と受けていないのとでは、虫歯の発見率が大きく異なります。特に二次カリエスは自分では気づきにくいため、定期検診の受診が欠かせません。定期検診で二次カリエスを発見されることも多く、早期治療を行うのとある程度進行してしまっているのでは、歯の寿命にも大きく関係してきます。
自分では自覚がない分、定期検診を受けて異常がないかどうかを確かめましょう。
2022年03月14日 09:50
歯を失うリスクが高いと言われている歯周病は、磨き残しによる細菌感染が主な原因です。しかし歯周病になる原因は、磨き残しだけではありません。お口の環境は様々ですが、その中でも特に歯周病を誘発しやすい要因についてお話をいたします。
歯周病は、歯周病菌が直接の原因です。歯周病菌は磨き残しにより作られたプラークや、石灰化した歯石に歯周病菌が入り込み、歯ぐきや歯を支える歯槽骨などに炎症を引き起こします。
歯磨きが適当であったり、丁寧に磨いているつもりでも磨き残しがあるといった、お口の中の衛生状態が悪いとプラークが作られ、歯周病菌が活動しやすい環境となってしまいます。
このように、歯周病の直接の原因は、お口の中に入り込んだ歯周病菌という細菌です。
歯周病菌によって歯ぐきや歯槽骨に炎症が起きることで歯周病が発症し、静かに症状が進行してしまいますが、歯周病が発症しやすい「要因」というものがあることをご存じでしょうか。もちろんどのような方にも歯周病リスクは伴いますが、より歯周病リスクが高まってしまう要因についてご紹介します。
悪い噛み合わせは一部の歯に大きな負担がかかり、骨吸収が起きやすくなります。また歯ぎしりや食いしばりといった悪癖も、歯に過度な力が断続的に加わり、骨吸収が起きてしまいます。歯周病はプラークが付いている歯に起こりますが、噛み合わせの乱れや歯ぎしりといった環境は骨吸収を起こす「咬合性外傷」という病気に分類され、歯周病が合併されやすくなる要因となります。
こちらは歯周病の発症や悪化に直接影響を受けると言っても過言ではありません。歯並びに大きな問題がない方でも,
歯磨きがきちんとできていなければ歯周病リスクが高まりますが、歯並びが悪く、歯と歯が重なっている、八重歯によって2番目の歯が大きく後方に下がってしまっているといった場合、さらに歯周病リスクが高まります。磨き残しやどうしても磨けない部分にプラークが溜まり、歯周病菌が活動するには絶好の要因となってしまいます。
歯周病はいちど発症すると、完治が難しい病気です。また歯がグラグラになったり抜けてしまうだけでなく、体の健康にも関係すると言われいる怖い病気です。たかが歯周病、と思うかもしれませんが、歯周病によって受ける影響は計り知れないのです。
歯周病は予防をすることで悪化を防ぐことができます。また歯周病を引き起こしやすい要因を知っておくことで、より歯周病に対する意識が高まるのではないでしょうか。噛み合わせの悪さや歯ぎしりは、お口の中の環境だけでなく全身の健康にも関わります。また歯並びの悪さも見た目だけでなく、歯周病を引き起こしやすい大きな要因となります。
歯周病のサインは歯ぐきの腫れと出血ですが、これ以外にも顎がだるい、寝起きに奥歯が痛いなどといった自覚症状がある場合、歯周病を併発するリスクが高くなることから早めに歯科医院に相談しましょう。
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