2018年10月24日 05:15
「自費治療は高い・・・」。保険適用で治療を受けていると、自費の詰め物や被せ物の提案を受けたときにまず思うことは、費用が高くなることです。
確かにオールセラミックなどの補綴物は、保険適用の素材と比較すると高額になります。しかし長い目で見ると、案外そうでもないのです。今回は自費と保険の補綴物の寿命と費用についてお話いたします。
保険と自費の素材の特徴について
まず保険適用の素材と自費素材の違いの特徴について、前歯を例にしてお話をしましょう。保険適用の前歯の素材は表側が白いプラスチック、裏側と内側が金属で作られています。見た目は白く、隣の歯と馴染んで一見すると差し歯とはわかりにくいほど自然です。
しかしプラスチックは使用するうちに表面に傷が付き、そこへ汚れが付着しやすくなります。そのため作製当初と比べると黄ばみが目立ち、歯ぐきが下がるにつれて金属部分が見えるなど、審美的に問題が生じやすくなります。またプラスチックは欠けやすく、一部が欠けてしまうと内部の金属が見えてしまいます。
また細菌が付きやすく、プラークが作られやすいため二次カリエスのリスクが高いことも特徴です。
いっぽうセラミックを使った補綴物は、白く透明感のある仕上がりで、審美的にもとても優れています。これは作製当初の保険適用の差し歯でも同じですが、保険と自費の素材の大きな違いは、経年劣化です。歯科治療で使われるセラミックはなめらかで傷がつきにくく、年数が経っても美しさが持続します。また細菌も付着しにくいため二次カリエスになりにくいことも大きな特徴です。
保険と自費では寿命が違う
保険適用の補綴物と自費の補綴物では寿命が異なることも注目すべき点です。保険の補綴物は銀歯も含め、寿命がやや短いと言われています。部位にもよりますが4~5年が平均的な寿命で、作り変えが必要となることが多いでしょう。
特に二次カリエスが原因で再治療が必要となった場合、何年か毎に再治療が繰り返されることになり、そのたび治療と補綴物の作製が行われます。
セラミッククラウンなど自費の補綴物は寿命が長く、耐久性にも優れています。また二次カリエスになりにくいため再治療の必要性が低く、長く歯と補綴物の寿命を保つことができるでしょう。
確かに自費の補綴物は一時的な出費が大きいため、どうしても高く感じられることは否めません。しかし何度も再治療を繰り返すことを考えると、最終的には費用が高くつき、セラミッククラウン一歯分と変わらなくなることも考えられます。
そして何よりも、再治療を繰り返すことで大切な歯を失ってしまうリスクが高まります。
保険治療が一概に良くないわけではありません。保険の補綴物でも良好な状態を保っている患者さんもたくさんいらっしゃいます。しかし長い目で見ると、審美的、耐久性の面から自費治療の選択肢も考慮に入れてみられることをお勧め致します。
2018年10月19日 06:03
金属の被せ物の周囲の歯ぐきが腫れて痛む経験をしたことはありませんか。これは被せ物の間に食べ物が挟まることで起きていると考えられます。
どんなに歯間ケアをしても出血する・・・
歯磨きはもちろん、毎日フロスや歯間ブラシを使っていても、被せ物の歯の歯ぐきが腫れて、歯磨きのたびに出血するケースがあります。歯そのものは神経を取り除いてあるため痛みはありませんが、指で押すと何となく鈍い痛みがあったり、上顎の場合なら頬の辺りに違和感がある場合も見受け慣れます。
これは歯と被せ物の隙間に食べかすが入りこむことで起こります。また銀歯の場合、歯と銀歯の間にわずかな段差が生じ、そこにプラークが付いてしまうことで歯ぐきが腫れてしまうのです。銀歯はプラークがつきやすく、二次カリエスや歯肉炎を引き起こ引き起こすリスクが高い補綴物です。
また銀歯ではありませんが、CAD/CAM冠という保険適用の白いプラスチックの被せ物もプラークがつきやすいと言われています。見た目は歯の色と馴染むような色調ですが、やはりプラスチックもプラークがつきやすい素材のため、歯の隙間によっては食べ物が挟まって歯ぐきが腫れてしまうことも考えられます。
まずは被せ物を取り除いて様子をみる
被せ物が原因と考えられる場合、まずは被せ物を除去して土台だけにしてみるケースが多いようです。土台だけになると中途半端な隙間ではなくなり、歯の間に食べ物が挟まりにくくなります。この状態で日常の歯磨きをしっかりと行い、様子を見てみます。
歯ぐきの腫れが治まり、問題ないと判断されたら新しい被せ物を被せる準備を考えても良いと思います。なお被せ物を取り除くと食事がしにくいため、反対の歯で噛むようにして下さい。
新たな被せ物はプラークが付きにくいセラミック素材がおすすめ
銀歯やCAD/CAM冠はプラークが付きやすく、歯ぐきの腫れを引き起こしやすいため新たな被せ物は、セラミック系のものがおすすめです。
オールセラミックやジルコニアセラミックなどは保険適用素材のものと比較するとプラークが付きにくいという特徴があります。プラークが付きにくくなると二次カリエスや歯肉炎などのトラブルが起こりにくくなり、歯ぐきの炎症も改善される傾向にあります。
ただしセラミックの補綴物を入れたからといって安心はできません。歯間ケアを中心とした毎日のセルフケアに加え、歯科医院でのメンテナンスをきちんと受けることが大切です。
2018年10月15日 22:43
お口の中の銀歯は審美性を損ねるだけでなく、金属アレルギーや全身の不快症状を引き起こす可能性が高い治療です。保険適用のため、安い治療費で治療を受けることができるのは魅力かもしれません。しかし金属素材は金属アレルギーや肩凝り、頭痛などの不定愁訴の原因物質と言われています。今の歯科治療で使われる代表的な金属は、金銀パラジウム合金ですが、それ以外に「アマルガム」という金属の詰め物があります。このアマルガムは金属素材の中でも毒性が強い素材と言われています。今回はアマルガムの危険性についてお話をしたいと思います。
ひと昔前までは歯科治療の主流であったアマルガム充填
保険適用の詰め物といえば金銀パラジウム合金ですが、ひと昔前の虫歯治療では、アマルガムによる充填が主流でした。そのため主に40代以降の年齢層の方のお口の中にアマルガムが詰めてあるケースが今でも見受けられます。今はほとんど使用されないアマルガムは毒性が強い歯科素材のため、国によっては使用が規制されているところもあります。
あなたのお口の中に鈍い鉛色をした詰め物はありませんか?アマルガムは金銀パラジウム合金と比べて濃いグレーのような鈍い色をしているため、見分けがつきやすいと思います。ではアマルガムはいったいどんな性質を持っていて、なぜ危険なのかについてお話を進めていきましょう。
高濃度の水銀が含まれているアマルガムとその影響
アマルガムには銀、スズ、亜鉛などのほかに、有毒物質として知られている水銀が含まれている合金です。アマルガムは劣化しやすい素材で、腐食しやすい性質があり、咀嚼時の摩擦により溶けだした水銀を含んだ蒸気が発生し、その蒸気を吸い込むことで体内に有毒物質の水銀を取り込んでしまいます。アマルガムの影響としては金銀パラジウム合金と同じように金属アレルギーのほか、全身の健康へ現れます。
しかしアマルガムのリスクはこれだけではありません。アマルガムに含まれる水銀は神経系に作用しやすいため、体内に蓄積されることから不眠、イライラ、めまい等の不快症状が現れると言われています。
妊娠中の女性の場合、お腹の赤ちゃんや母乳への悪影響も懸念されるだけでなく、不妊の原因のひとつとも考えられているようです。
アマルガムは溶けやすいという特性があることから、虫歯治療でアマルガムを詰めたところから二次カリエスを引き起こしやすくなってしまいます。二次カリエスは再治療を繰り返すため、歯を失うリスクも否めません。
審美面においてもアマルガムはデメリットが目立ちます。濃い鉛色をしたアマルガムが溶けだすことにより、歯ぐきに黒ずみを生じさせてしまいます。
このように、アマルガムは歯の健康と審美面などにおいて、様々な悪影響を与えてしまう金属ということがおわかりいただけることと思います。
金属を使わないメタルフリーで、体に優しい治療を
歯科治療で使われる金属素材の中でも、アマルガムは特に毒性の強い金属で、お口の中や全身の健康に悪影響を与える恐れがあることをお話しました。お口の中にアマルガムが認められた場合、まずは速やかにアマルガムを除去し、金属を全く使わない素材を使って治療を行うことが最善策と言えます。なおアマルガムを除去する際に気を付けなければいけないことは、アマルガムを含んだ蒸気を吸い込まないようにすることです。口腔外バキュームなどを使ってできるだけ安全にアマルガムを除去することが大切です。その上でセラミックなど二次カリエスのリスクが低い素材を使ったメタルフリー治療を行うことをお勧めします。
2018年10月09日 15:14
インプラントとは、一般的に「失った歯の部分に埋め込む人工歯根」と認識されていますが、矯正治療でもインプラントを使用するケースがあることをご存知でしょうか。今回は矯正用インプラントを使った「ミニインプラント矯正」についてお話をいたします。
ミニインプラント矯正とは?
ミニインプラント矯正とは、歯列矯正治療用に作られたインプラントを歯ぐきに埋めて歯を動かす矯正治療法です。従来の矯正治療に比べ、様々なメリットを持ち合わせています。まずはミニインプラント矯正のメリットをご紹介しましょう。
・抜歯を回避できるケースが多くなる
インプラント矯正は、ブラケット矯正に比べて歯に強い力がかかるため、歯の移動距離が大きくなるという特徴があります。そのため抜歯を回避できるケースが多くなります。ただし全てのインプラント矯正で抜歯が回避できるわけではありません。
・歯を動かすことが難しい歯を動かすことができる
ミニインプラント矯正では、動かしたい歯だけを動かすことが可能です。そのためブラケット矯正では動きにくい歯でも歯が動かしやすくなり、矯正治療が進みやすくなります。
・動かしたい歯だけに矯正装置を装着することができる
前歯だけ整える部分矯正とは異なり、奥歯の噛み合わせの治療が必要な場合、全ての歯にブラケットを装着する必要があります。ミニインプラント矯正では動かしたい歯だけに矯正装置を装着するため、日常生活のわずらわしさがありません。そのため、全ての歯にブラケットを装着している状態に比べると歯磨きが行いやすく、虫歯や歯肉炎になるリスクが低くなることもメリットです。
ミニインプラント矯正のデメリットや注意点とは
メリットの多いミニインプラント矯正ですが、ミニインプラント矯正にもデメリットは存在します。ではミニインプラント矯正のデメリットや注意点はどんなことでしょうか。
・外科処置が必要
人工歯根を埋め込むインプラントほど大掛かりではありませんが、ミニインプラント矯正は歯ぐきに矯正用インプラントのネジやプレートを埋め込む外科処置が必要になります。麻酔を使って処置を行うため痛みは伴いませんが、ブラケット矯正では行わない外科処置が必要となります。
・脱落することがある
矯正用インプラントは長期間使うことを目的としていないため、矯正治療中に脱離してしまうことがあります。必要に応じて再度インプラントを歯ぐきに埋め込む処置を行います。
・腫れや痛みを伴うことがある
矯正用インプラントを埋め込むことにより、歯ぐきが腫れたり痛んだりすることがあります。一時的なものですぐに症状が治まるケースがほとんどですが、歯ぐきに矯正装置を埋め込むことでこのような症状が起きる場合があります。
ご自身にいちばん合った矯正治療を行いましょう
ミニインプラント矯正についてご紹介しました。歯の移動距離が大きいため、抜歯の必要性がほとんどなく、治療期間が短くなるなどメリットの多いミニインプラント矯正ですが、全ての方に適しているとは限りません。どうしても抜歯が必要となるケースや、ブラケット矯正やマウスピースのほうが適している場合もあるため、担当医とよく相談してご自身に最も合った矯正治療法を選択するようにして下さい。
2018年10月06日 15:30
歯並びを整えて笑顔に自信を持ちたい・・・!でもせっかく矯正治療を行っても、虫歯や歯肉炎になってしまうときれいな歯並びが台無しになってしまいます。
歯列矯正中は歯の動きばかりに意識がいきがちですが、意外な落とし穴は、焼成治療中における口腔ケアです。特にブラケット矯正の場合、歯にブラケットとワイヤーが固定された装置のため歯磨きが行いにくく、汚れをきれいに落とすことが難しいため、虫歯や歯肉炎を引き起こしやすくなります。普通の歯ブラシだけではなかなか上手に汚れが落とせません。またデンタルフロスも、ワイヤーが通っているため歯と歯との間に入れることが難しく、歯の隙間にプラークが形成されやすくなってしまいます。
そこで矯正治療中に是非使っていただきたいのが、ワンタフトブラシです。ワンタフトブラシは、持ち手の先端に小さな毛束が付いた特殊な形状をした歯ブラシで、主にインプラントの口腔ケアに使われます。このワンタフトは、実は非常に優れもので、歯を一本一本丁寧に磨くことに大変適しています。歯並びが悪い方や、上の前歯の裏側なども磨きやすく、歯と歯ぐきの境目の汚れをきれいに落とすことができるのです。
ブラケット矯正の場合、ブラケット周囲に付着した汚れやプラークをきれいに落とさないと、虫歯や歯肉炎、口臭の原因になってしまいます。ここで是非ワンタフトを使ってください。ワンタフトの特殊な形状が、ブラケット周りの汚れをきれいに落としてくれます。
また矯正用のデンタルフロスも販売されています。こちらも特殊な形をしており、ワイヤーの隙間からフロスを通しやすい設計になっています。虫歯や歯肉炎予防には歯間ケアが欠かせません。矯正用のデンタルフロスは通販で低似れることができますので、いちど検索してみてください。
マウスピース矯正の場合は取り外し式のため歯磨きなどお口の中の衛生管理を行いやすいですが、長時間マウスピースを装着することで虫歯菌を閉じ込めてしまう場合があるため、油断は禁物です。就寝前の歯磨きは特に念入りに行い、お口の中の細菌をできるだけ減らすようにしておきましょう。
またフッ素が配合された歯磨き剤や殺菌効果の高い洗口剤なども使い、歯質を強くしたりお口の中を清潔に保つことも重要です。歯並びが美しく整っても、お口の中が不健康だとせっかくの矯正治療が台無しになってしまいます。歯並びが整うと、歯磨きも行いやすく、衛生管理がしやすくなります。歯の健康を守るためにも、矯正治療中から口腔ケアを意識しておくことが大切です。
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